匿名リサーチ2000X File No.7188

国民的大ヒットわらべ歌の謎を追え!

 

特報!「みっちゃんの謎」第二報

 

Miss Mitchan took a crap along the road.

Since she had no paper,

She wiped it off with her hand.

And then since she didn't want to waste it,

She licked it all.

 

「わらべうたの研究(楽譜編・研究編)」

小泉文夫編 わらべうたの研究刊行会 1969 より抜粋

 

決して表立ってメディアで公開されることもなく

その伝播形式はほぼ完全に口伝のみに依存していたであろうにもかかわらず

日本中この歌を知らない者はいないといってもいいのではないだろうか。

 

ミチコ、ミチオ、ミツヒコ、ミツハル、ミキヒサ

「み」をその名に冠する子供たちへの恐怖の洗礼

 

「みっちゃんみちみち」

 

この歌がいつ、どこで、どのような人物の手によって生まれたのか、解明できたら柳田國男を超えるのではないかと思えるほど、この有名な歌の起源は謎に包まれている。今回我々は、この「裏のミリオンヒット(ビリオンヒットかもしれないが)」の秘密に迫るべく、調査を開始した。

まず、この歌にはいくつかの地方バリエーションが存在している。

東京近辺「みっちゃんみちみちびちびち《神奈川の一部》うんこたれて 紙がないから手で拭いて もったいないからなめちゃった」

埼玉、北関東「みっちゃん道ばたうんこして 紙がないから手で拭いて もったいないからなめちゃった」

関西「みっちゃんみちみちばばこいてたれて《大阪泉州》 紙がないから手で拭いて もったいないからたべちゃった」

実際には「なめちゃった」⇔「たべちゃった」など、より細かいバリエーションが存在する。

また横浜で歌の最後に「ぺろぺろぺろぺろ なめちゃった」と付け加えるバージョンも確認されている。

 

全国的にスタンダードとされているバージョンはおそらく東京のものと考えられるが、歌そのものが東京起源かどうかはいまだ不明である。

ここで気付くのは、「みちみち」が原義的には「道々」であり、排便の擬音ではないということである。しかし掛詞としても非常に完成度が高いため、地方によっては擬音のほうとしてとらえられているところもあると思われる。

 

人々の記憶に刻み込まれるも記録に刻み込まれることはないと思われた「みっちゃんみちみち」。

しかし、調査を進めていくうちに我々はこの歌を「学術資料」として記録している人物がかつて存在したことを知った。

民族音楽学者で元東京藝術大学教授の小泉文夫氏(1927〜1985)である。

 

氏は世界の民族音楽を研究する傍ら、日本のわらべ歌を記録し、後世に残す活動を長年にわたって続けており、その功績は東京藝術大学の小泉文夫記念資料室に収められている。

そしてその膨大な資料の中には、氏が録音した「みっちゃんみちみち」が存在していたのである。

昭和36年11月11日練馬区開神第2小学校3年2組の児童によって歌われた「みっちゃんみちみち」。おそらく世界唯一の公式記録であろう。「演奏者」欄の氏名は全員女性である。これは実際に歌った児童の名前か、もしかすると先生が参加したのかもしれない。

自分たちが「みっちゃんみちみちうんこたれて〜♪」と歌うテープが世界的な資料として半永久的に保存されるという名誉だか不名誉だか微妙な事実を、40年経過した現在彼女たちがどう思っているのか聞いてみたいものである(あるいはとっくに忘れているかもしれないが)。

小泉氏と研究グループが10年にわたって都内100校の児童から採譜したわらべ歌研究の集大成とも言える「わらべうたの研究(楽譜編・研究編)」、この中にも「みっちゃんみちみち」が楽譜(レ、ファ、ソの3音で構成されている)、英訳歌詞つきで掲載されている。冒頭の英詩はその抜粋である。

「小学校低学年の音楽教育には、日本古来のわらべうたを導入すべきであると小泉文夫氏が文部省に提案、採用されたわらべうたの本。」

とHPで紹介されているところを見ると「みっちゃん」は文部省の検閲にひっかからなかったらしい。

 

さらに「みっちゃんみちみち」の歌詞を文学の視点から分析した人物が存在した。

国文学者林望氏。彼は著書「古今黄金譚〜古典の中の糞尿物語〜」(平凡社新書、1999)の序章において、「天下の傑作」と称してこの歌を取り上げている。

「みっちゃん/みちみち」と「み」が連続する頭韻的効果に加えて「道々」と「ミチミチ(擬音)」の掛詞の巧妙さ、さらに「うんこたれて/手で拭いて/なめちゃった」という脚韻的効果、「紙がないから→手で拭く」、「もったいないから→なめる」という対句の面白さも兼ね備えていると氏は指摘する。

また「もったいないからなめる」という行為に関しては、フロイトの肛門期理論による食糞行動の心理分析的アプローチもさることながら、日本人が古来より糞尿を「汚らわしいもの」という認識と同時に「恵みをもたらす神聖なもの」とみなす農耕信仰的価値観をもっていたことが関係しているのではと考察している(「かわやには神様が居られます」みたいなものだろうか)。

 

「みっちゃん」への悪意、「うんこ」への子供特有の関心、そうした要因だけで「みっちゃんみちみち」の国民への浸透は語れないのかもしれない。

いまだ明らかではない「みっちゃん」の作者。彼は「歌い継がれる」という音楽家にとって印税よりも名声よりも名誉な褒賞を子供たちから得たと言えよう。

もしかすると、作者自身もまた、うんこが気になる年頃の子供だったのかもしれない。

 

 

 

和田君「いやあ、これでわれわれも柳田國男に一歩近づきましたねえチーフ」

チーフ「いや全然クソみたいなもんでしょ」

 

ぶぉーん ぶぉーん ぶぉーん ぶぉーん

 

ぱららららららららららららららららららららららららら・・・・・・・

(すごい速さでスタッフロール流れる)

 

 

「みっちゃんの謎」第二報へ

P.S. アポなしで資料の閲覧を特別に許可してくださった東京藝術大学図書館の司書の方に深謝いたします。(コピーをお願いした時の微妙な表情は何だったんでしょう)

 

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